洗濯機から突然聞こえてくる「ギギギ」という鋭い音。金属やプラスチックが擦れるような異音は、放置すると故障や水漏れ、最悪の場合は発火を招く危険なサインです。
本記事では、異音の主な原因であるパルセーター(回転羽根)の摩耗や異物混入の見分け方を、初心者の方にも分かりやすく解説します。自分で解決できるチェック方法から、修理業者に依頼すべき判断基準、修理費用の相場まで、あなたの不安を解消するための情報をまとめました。
まずは運転を止めて、この記事と一緒に原因を特定していきましょう。
洗濯機からの「ギギギ」という異音の正体と対処法

洗濯機を使用中に突然「ギギギ」という耳障りな音が聞こえてくると、故障ではないかと不安になるものです。この音は金属やプラスチックが激しく擦れ合っているサインであり、放置すると洗濯機本体の寿命を縮める恐れがあります。
まずは異音の発生源を特定し、状況に合わせた適切な処置を行うことが重要です。早期に原因を突き止めることで、高額な修理費用をかけずに解決できる可能性も高まります。
ギギギという異音はパルセーターの摩耗や異物混入が主な要因
洗濯槽の底にある回転羽根(パルセーター)に関連するトラブルが、ギギギという異音の最も代表的な原因です。
この動画のような異音がする場合、駆動系の部品の緩みや摩耗、劣化のほか、異物の挟まりなどが原因として挙げられます。
パルセーターはモーターの力を受けて回転し、水流を作り出す重要な部品ですが、長年の使用により中央の接続部分が摩耗すると、軸と噛み合わずにスリップして異音を発生させます。
また、衣類のポケットから脱落したヘアピンや硬貨がパルセーターの隙間に挟まり、回転のたびに削れるような音を出すケースも少なくありません。
| 原因の種類 | 具体的な状態 | 音の特徴 |
|---|---|---|
| 部品の摩耗 | パルセーター裏側の溝が削れている | 力が加わると滑るような高い音 |
| 異物の挟まり | 硬貨やヘアピンが底面に接触している | 金属が引っかかるような断続的な音 |
| 駆動部の劣化 | モーター内部のギアや軸受けの消耗 | 回転に合わせて響く重い音 |
【安全のためのチェックポイント】
パルセーターに異物がないか確認する際は、ライトで照らすと見落としが減ります。手を触れる前には必ずコンセントを抜いてください。
運転を停止して槽内の異物を確認する
異音に気づいたら、まずは速やかに運転を一時停止させることが最優先事項です。そのまま運転を継続すると、挟まっている異物が洗濯槽のステンレス壁面やパルセーターを傷つけ、修復不可能なダメージを与える可能性があります。
停止後は洗濯物を取り出し、パルセーターの周囲や隙間に異物が挟まっていないか目視で慎重に確認しましょう。特に厚さ2ミリメートル程度の硬貨や、細いヘアピンは隙間に入り込みやすいため、懐中電灯などで照らしながら細部までチェックする必要があります。
電源を切りパルセーターのガタつきを確認する
目に見える場所に異物がない場合は、パルセーター自体の取り付け状態を確認してください。安全のために必ず電源プラグをコンセントから抜いた状態で、パルセーターの縁を指で軽く押さえ、上下左右に揺らしてみます。
通常であればしっかりと固定されていますが、中央のネジが緩んでいたり、軸受けが摩耗していたりすると、数ミリメートル程度のガタつきが生じます。このわずかな隙間が回転時の振動を増幅させ、大きなギギギという異音へと繋がるのです。
洗濯機の底からギギギと音がする場合の部位別トラブル診断

洗濯機の底部分から聞こえる異音は、場所によって原因が明確に分かれます。音の発生源が「洗濯槽の内側」なのか「洗濯槽のさらに下(内部構造)」なのかを見極めることが、自分で対処できるかどうかの境界線となります。
まずは、ユーザーが最も確認しやすいパルセーター周辺から診断を進めていきましょう。
パルセーターの裏側にボタンや硬貨が挟まっているケース
洗濯物と一緒に誤って洗ってしまったボタンや硬貨は、遠心力によってパルセーターの縁から裏側へと入り込むことがあります。
裏側に回り込んだ硬貨が、回転する羽根と静止している洗濯槽の底面に挟まれると、強い摩擦抵抗が生じてギギギという鋭い音を発します。
- ズボンのポケットから出た50円玉や100円玉
- 衣類から脱落したプラスチック製の装飾ボタン
- カーテンのフックなど金属製の小物
これらが原因の場合、パルセーターを固定している中央のネジをプラスドライバーで外すことで、簡単に異物を取り除ける場合があります。
パルセーター中心部の溝が削れて空回りしているケース
パルセーターの中央には、モーターの軸と噛み合うためのギザギザとした溝(スプライン)が刻まれています。この溝が経年劣化や過負荷によって削れて丸くなってしまうと、モーターの軸だけが回転し、羽根が空回りする現象が起こります。
| チェック項目 | 正常な状態 | 異常な状態(摩耗) |
|---|---|---|
| 手での回転 | 重みがあり簡単には回らない | 軽い力でスルスルと回る |
| 中心ネジの状態 | しっかりと締まっている | ネジは締まっているが羽根が動く |
| 水流の強さ | 勢いよく水が動く | 音だけして水流がほとんど起きない |
スクロールできますこのケースでは、パルセーターという部品自体の交換が必要です。
洗濯槽の軸受け部品(メカケース)が経年劣化で破損しているケース
パルセーターに異常がなく、洗濯槽のさらに深部から音が聞こえる場合は、軸受けユニット(メカケース)の故障が疑われます。メカケースはモーターの回転を制御し、洗いと脱水の切り替えを行う重要な動力伝達部です。
内部のベアリングが錆びたり、ギアが破損したりすると、耐え難いほどの大きな金属音が響き渡ります。これは洗濯機の心臓部のトラブルであり、ユーザー自身で修理することは困難です。
一般的に使用開始から7年以上経過した製品で発生しやすく、修理には専門的な分解作業を伴います。
【状況別】ギギギという異音が鳴り止まない時の原因切り分け方法

異音がどの行程で発生するかを観察することで、故障箇所を絞り込むことができます。洗濯機は「洗い」「すすぎ」「脱水」という各工程で異なる動きをするため、特定の動作時のみ音が鳴る場合は、その動作に関わる部品を重点的にチェックすればよいのです。
洗い・すすぎ行程の時だけ音が鳴る場合は攪拌羽根の不具合
「洗い」や「すすぎ」の際にだけ音が聞こえるのであれば、原因はパルセーター(攪拌羽根)にある可能性が非常に高いです。これらの行程ではパルセーターが左右交互に反転を繰り返しており、切り替えの瞬間に大きな負荷がかかります。
- 反転する瞬間にギギッと音がする
- 洗濯物が多い時だけ音が大きくなる
- パルセーターが左右どちらかにしか回っていない
このような症状は、パルセーターの摩耗や、裏側に挟まった異物が回転を阻害している典型的なサインです。
脱水行程で音が激しくなる場合は軸受けやモーターの故障
洗い時は静かなのに、脱水が始まった途端に激しいギギギという音や振動が発生する場合は、洗濯槽全体を高速回転させるための軸受け(ベアリング)やモーター周りのトラブルです。
脱水時は毎分数百回転という高速走行を行うため、わずかな軸のズレや部品の摩耗が、爆音のような異音へと繋がります。
| 症状 | 疑われる原因 | |
|---|---|---|
| 回転の立ち上がりに異音がする | 駆動ベルトの緩みや劣化 | Vベルトの交換が必要 |
| 高速回転中に金属音が響く | 軸受けベアリングの摩耗・錆び | メカケースの交換が必要 |
| ブレーキ時に大きな音がする | ブレーキライニングの摩耗 | 専門業者による点検が必要 |
スクロールできます
空回し(洗濯物を入れない状態)でも異音がするかどうかで判断する
原因を切り分ける有効な手段として、洗濯物を一切入れない「空回し」による確認があります。洗濯物を入れると重みで音が消えたり、逆に増幅されたりすることがあり、診断を誤る可能性があるからです。
- 槽内を完全に空にする
- 「洗い」のみを最短時間で設定してスタートする
- 音が鳴る場合は、パルセーターの物理的な故障や異物混入が確定する
- 音が鳴らない場合は、衣類の重みによる負荷や、衣類の付属品が壁面に当たっている可能性を検討する
空回しでも音が鳴り続ける場合は、部品同士が物理的に干渉しているため、早急なメンテナンスが必要です。
自分で解決できる?修理業者に依頼すべきかの判断基準

異音の原因が分かったとしても、自分で修理できる範囲には限界があります。無理に分解を進めてしまうと、水漏れの原因になったり、元に戻せなくなったりするリスクがあるためです。
ここでは、セルフチェックで対応可能な範囲と、プロの手を借りるべき状況を明確に区別します。
ネジの緩みや目視できる異物の除去ならセルフチェックで解決可能
自分自身で対応して安全なのは、パルセーターを取り外してその周辺を清掃する作業までです。中心のネジを外してパルセーターを持ち上げ、そこに挟まっている硬貨や糸くずの塊を取り除く作業であれば、特殊な技術は必要ありません。
- 中央のプラスネジを回してパルセーターを外す
- 裏側に固着した石鹸カスやゴミを歯ブラシで掃除する
- 挟まっていた異物(硬貨やピン)を取り除く
- ネジを強く締め直して元に戻す
これだけで音が解消されれば、修理費用をかけずに済みます。
パルセーターを外しても異音が消えない場合は内部メカの故障を疑う
パルセーターを外した状態で空回しを行い、それでも洗濯機の底から「ギギギ」「ゴロゴロ」といった音が聞こえる場合は、ユーザーの手には負えません。
この音は、機体内部のモーター、ギア、あるいは排水をコントロールするクラッチ機構から発生しています。
| 確認状況 | 判断 |
|---|---|
| パルセーターを外すと音が消える | パルセーター自体の交換で解決可能 |
| パルセーターを外しても音が鳴る | 駆動系(メカケース等)の重故障 |
| 焦げ臭い匂いが同時にする | モーター故障や漏電の危険があるため即中止 |
スクロールできます内部メカの故障は、専用の工具と部品供給がなければ修理できないため、速やかにメーカーや修理業者へ連絡してください。
購入から5年以上経過している場合は修理費用と買い替えを比較する
洗濯機の設計上の標準使用期間は、一般的に7年とされています。購入から5年以上経過している場合、一部の部品を修理しても、すぐに別の箇所が故障するリスクが高まります。
- 修理費用の目安:20,000円から40,000円程度
- 最新モデルの価格:50,000円から150,000円程度
メカケースの交換などの高額修理になる場合は、最新の節水・節電モデルに買い替えた方が、長期的なコストパフォーマンスが高くなるケースも多いです。保証期間内であれば無償修理の対象となるため、まずは保証書の購入日を確認しましょう。
洗濯機のギギギ音に関するよくある質問と解決のヒント

洗濯機の異音については、多くのユーザーが共通の悩みを抱えています。特定の機種特有の現象や、修理に関する不安など、よく寄せられる質問をまとめました。
自分の状況と照らし合わせながら、解決のためのヒントにしてください。
異音がしたまま使い続けるリスクは?
「音は気になるけれど、まだ洗えるから」と使い続けるのは大変危険です。異音は部品同士が異常な摩擦を起こしているサインであり、そのまま放置すると摩擦熱によってプラスチック部品が溶けたり、最悪の場合は発火の原因となったりする恐れがあります。
また、パルセーターの軸が完全に潰れてしまうと、洗濯槽の中で羽根が暴れ出し、ステンレス槽自体を突き破って激しい水漏れを引き起こすケースも報告されています。異常を感じた時点で直ちに使用を中止することが、家財を守ることにも繋がります。
メーカー特有の音の傾向はありますか?
メーカーによって内部構造に違いがあるため、異音の出方にも多少の傾向が見られます。
| メーカー | よくある異音の傾向 | 主な原因箇所 |
|---|---|---|
| パナソニック | キュルキュル、ギギギ | 駆動ベルトの緩みやパルセーターの摩耗 |
| 日立 | カラカラ、ギギギ | パルセーターへの異物混入や軸受けの劣化 |
| 東芝 | ガリガリ、ギギギ | クラッチ切り替え部の不具合 |
スクロールできますただし、どのメーカーであっても「ギギギ」という鋭い音は深刻な摩耗を示唆しているため、メーカー名にかかわらず早期点検が必要です。
修理を依頼した場合の費用相場と作業時間の目安は?
修理を業者に依頼する際、最も気になるのが費用と時間です。一般的な縦型洗濯機の場合、パルセーターの交換だけであれば10,000円から15,000円程度(出張費込)で、作業時間は30分から1時間程度です。
一方で、メカケースやモーターの交換が必要な重故障の場合は、部品代が高額になるため、30,000円から50,000円程度の費用を見込む必要があります。この規模の修理になると、作業時間は1.5時間から2時間ほどかかり、事前に部品の取り寄せが必要になるケースが大半です。
異音を未然に防ぎ洗濯機を長持ちさせるためのメンテナンス習慣

洗濯機からの異音は、日頃の使い方を少し見直すだけでも防げます。故障してから修理するのではなく、故障させないための習慣を身につけることが、家電を最も安く、長く使い続けるための秘訣です。
ポケットの中身を必ず確認しファスナー付きネットを活用する
異音の最大の敵である「異物混入」を防ぐためには、洗濯前のチェックを徹底するしかありません。
- ズボンのポケットに残った小銭、鍵、レシートの確認
- 子供の服に入ったままの石やシールなどの除去
- ブラジャーのワイヤー脱落を防ぐための専用ネット使用
- パーカーの紐やファスナーの金具が当たらないよう裏返してネットに入れる
特にヘアピンやクリップなどの小さな金属片は、一度洗濯槽の隙間に入り込むと取り出すのが非常に困難です。これらをシャットアウトするだけで、パルセーターの故障リスクは大幅に減少します。
一度に詰め込みすぎず洗濯物の量は容量の7割から8割に留める
洗濯機の容量いっぱいに衣類を詰め込んで回すと、パルセーターには想定以上の負荷がかかります。
- 大量の洗濯物がパルセーターを押し付ける
- 回転を始めようとするモーターの軸に過度な摩擦が生じる
- パルセーター中央の溝が削れやすくなる
無理な運転は「ギギギ」という音の原因となる摩耗を早めるだけでなく、汚れ落ちも悪くしてしまいます。理想的な洗濯量は、槽の高さの7割から8割程度です。まとめ洗いを避け、適切な量で回すことが部品を保護することに繋がります。
定期的な槽洗浄でパルセーター周辺にゴミや石鹸カスを溜めない
目に見えない部分のメンテナンスも欠かせません。1ヶ月に1回程度は、専用の洗濯槽クリーナーを使用して槽洗浄コースを運転しましょう。
パルセーターの裏側には、溶け残った石鹸カスや衣類の糸くずが蓄積しやすく、これらが固まると回転の抵抗となります。
また、蓄積したゴミが異物をキャッチしてしまい、隙間に固定させてしまう悪循環も生まれます。定期的に洗浄を行うことで、駆動部の動きをスムーズに保ち、異音の発生しにくい清潔な環境を維持できます。
洗濯機の「ギギギ」の異音をすっきり解消しよう

「ギギギ」という異音は、洗濯機が発する「限界のサイン」です。その正体の多くはパルセーターの不具合や異物の混入であり、早い段階で適切に対処すれば、その後も長く使い続けることができます。
まずは本記事で紹介した手順に従って、異物の有無やパルセーターのガタつきを確認してみてください。自分での解決が難しいと感じた場合は、無理をせずプロの診断を受けることが、結果として最も安全で確実な解決策となります。
静かで快適な洗濯環境を取り戻し、大切な家電を一日でも長く愛用していきましょう。



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